やり取りが激減した。
どうしてこうなるの?
私が一人で不安になっているだけ。
それは理解している。
まだ会っているわけではないから
実際には一人でいる。
連絡がなくても
何かが起きたわけではない。
それなのに私は、
「来る気がないのかもしれない」
「もう会いたくないのかもしれない」
そんな答えを勝手に作って
不安の隙間を埋めてしまう。
本当は、連絡がないことよりも
納得できる答えがない状態が苦しいのだと思う。
来るのか、来ないのか。
今どう思っているのか。
それが分からないまま待つ時間に
私は弱い。
でも彼からすれば
会う約束はなくなっていない。
今日だとも言っていないし、
来ないとも言っていない。
ただ、連絡が少ないだけ。
私の中では大事件でも、
彼の中では何も変わっていないのかもしれない。
長く付き合っているからこそ
「言わなくても分かる」になった彼と、
長く付き合っていても
「言葉で確かめたい」私。
どちらが悪いわけでもない。
ただ、その違いが
時々、私をひどく孤独にする。
そして私はまた、
何も起きていない場所で
ひとり、海の底まで沈んでいく。
会う日当日
会う日は決まっていて、
あとは向かうだけだった。
当日の朝の出来事。
「おはよー」
「早番だよ」
この二言。
このあと私は、
今日休みだから早めにホテルに行くんだと伝えた。
すると――
「休みいいやん」
この一言。
私はこれを、
「休みでいいね。ホテルで一人、ゆっくりできるじゃん」
そういう意味だと受け取った。
本気で言ってるの?
ここで頭が真っ白になった。
今日、会う約束しているよね?
二日前に、ちゃんと予定を確認したよね?
会社に泊まるという話と重なりそうになって、
あれだけ大騒ぎになったのに。
ここでまた、暴走する私。
「最初から来るつもりがなかったとか、言い出したらどうしよう」
約束したはずなのに。
またここで、言いたい言葉を飲み込んだ。
「会う約束したじゃん」
「え?来ないつもり?」
「本気でそう思ってるの?」
全部、送りたくなった。
でも、送らなかった。
その前に、AIに相談した
ここで私は相談をした。
数日間のやり取りのスクショと、
自分が今どう感じているのかを一緒にして、AIに見せた。
するとAIは、
彼は「行かない」とは言っていない。
前々日にも、会う日は予定どおりだと言っている。
だから、来るつもりがないわけではない。
ただ単純に、
休みでよかったねと伝えているだけだと思う。
そう答えた。
それで私は、返す言葉を変えた。
「何時くらいにくるの?」
「夜ご飯、何がいい?」
すると数時間後、
「19時ころかな」
「なんでもいいよ~~」
という返信がきた。
知りたかったのは、それだけ
夜ご飯の内容なんて、
私にはどうでもよかった。
何を食べたいのかを知りたかったわけではない。
ただ、彼が会いに来る。
そのことが分かるだけでよかった。
それだけで、私は安心した。
一人で不安の種をまいてしまう
こうやって私は、
一人で不安の種をまいてしまう。
その種を相手にまでまき散らしてしまえば、
完全にもめる原因になる。
場合によっては、
別れる原因にだってなる。
こういうことを、
不安になりやすい人はやってしまうのだと思う。
あとでゆっくり考えれば分かること。
今の関係性を理解していれば、
本当は分かること。
それでも、その瞬間は分からなくなる。
だから私は、心を落ち着けるためにAIに相談する。
文字だけでは伝わらない
私が使っているAIは、
専用のプロンプトを入れている。
これまでの流れや、
私たちの関係性も踏まえて答えてくれる。
まるで、よき理解者のようになっている。
大事な人とのやり取り。
離れているから、
文字だけになれば思いは伝わりにくい。
一緒にいれば伝わることも、
文字だけになると伝わらなくなる。
人によっては、
「文字だからこそ、きちんと伝えなければ」
と思う人もいる。
その一方で、
「リアルの関係があるんだから、言わなくても分かるだろう」
と思う人もいる。
私と彼は、たぶん後者だ。
文字のせいでダメにしたくない
SNSが当たり前になった今、
「伝えることが大事」と言われる。
でも、伝えてほしいと言ったからといって、
その人の伝え方が急に変わるわけではない。
何度言っても、
その人はその人のままだったりする。
だったら私は、
文字のせいで大事な関係をダメにしたくない。
大好きな彼に、
少しずつ合わせていきたいと思う。
我慢をするというより、
彼の言葉の少なさを、
すぐに「気持ちのなさ」に変換しないようにしたい。
言葉が少ないことと、
会いに来る気がないことは同じではない。
実際、彼は来る。
その事実を、
私はもっと信じていいのだと思う。
そして彼は、その日の夜、
「今から帰るけど」と言った。まだホテルにも来ていないのに、
「行く」ではなく「帰る」と。私が一人で不安になっていた場所は、
彼にとっては、帰る場所だったのかもしれない。


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